CLOSE UP コラム | IoTとLPWAとの関係

IoTとLPWAとの関係

CLOSE UP 事例

2017年05月01日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

「LPWA」が、IoTの普及を加速させる通信ネットワークとして注目を集めている。「LPWA」とは「Low Power、Wide Area」の頭文字をとった呼称で、少ない消費電力で、km単位の距離で広範囲に通信できる無線通信技術の総称である。IoT/M2Mでの使用を前提に開発されたLPWA。なぜ、LPWAはIoTに向いているのか。LPWAとIoTの関係を探る。

IoTサービスには欠かせない、LPWAの低消費電力

LPWAの機能を紹介する前に、まず、IoTサービスの一般的な仕組みを考えてみよう。IoTサービスとは、大量のセンサーからデータをクラウドに送信し、蓄積したデータを解析し、活用するというのが一般的な仕組みである。このような仕組みでは、大量のデバイスとの通信が発生する一方、1つ1つのデータはごく小さなもので、そこまで高速な通信は求められない。 またIoTでは、スマートフォン以上にデバイスが小型化されていくが、そこで問題になるのは消費電力だ。少容量のバッテリーで長時間動作するというのが理想となる。

要するに、IoTで求められる通信とは、Wi-Fiのような消費電力の大きいネットワークではなく、効率的に通信処理を行い、低消費電力性なのである。

IoTサービスには欠かせない、LPWAの長距離伝送

LPWAの新技術が注目を集める理由は、これまではバッテリーが長期間持ち、かつ1つの基地局で幅広いエリアをカバーできる通信技術が存在しなかったためである。

たとえば低消費電力の通信技術であるBLE(Bluetooth Low Energy)やZigBeeは、近接無線技術であるため、数キロメートル超といったエリアはカバーできない。逆に3GやLTE、GSMといったセルラーの技術は幅広いエリアをカバーできるが、バッテリー消費量が大きくなる。

スマートメーターやセンサーを対象としたIoT分野では、バッテリーが長時間持ち、かつ1つの基地局で広大なエリアをカバーすることができれば、それだけ低料金の通信サービスを提供しやすくなる。

「SIGFOX」や「LoRaWAN」といった新興企業のLPWAがビジネスを拡大している理由は、既存の通信技術ではカバーできなかったこの分野に、独自の通信技術を使って最適化したネットワークを実現したからだ。

IoTサービス必須の、低消費電力と長距離伝送を両立させるLPWAの独自技術

では、LPWAはどのようにして低消費電力と長距離伝送を両立させているのだろうか。例として「SIGFOX」が採用する通信技術を見てみよう。

「SIGFOX」が用いるのは「Ultra Narrow Band」と名付けられた、サブGHz帯(欧州では868MHz帯、北米では902MHz、日本は920MHz帯など)を用いる独自技術である。1メッセージ当たりわずか100Hz幅の超狭帯域を使う。帯域を狭めれば狭めるほど干渉の影響を軽減できる。その結果、郊外の見通しの良い環境下では「50〜100キロメートルほどの長距離通信」も可能だという。

通信方式を極力シンプル化することで、バッテリー消費を極力抑える工夫も施している。たとえば「SIGFOX」の全ての通信はデバイスが起点となるため、デバイスが待ち受け状態のときは受信できない。あくまでデバイス側から基地局にリクエスト送信した後に、初めて受信が可能になる。つまり運用次第では、デバイスのほとんどの時間をスリープ状態とし、バッテリー消費を極力抑える運用も可能になるだろう。

IoTという言葉は大きな注目を集めたが、ビジネスの現場においてIoTの機器やサービスの本格展開は、まだこれからという企業も少なくない。それだけにインフラとしてのLPWAの普及が、IoTの普及に大きく関与するはずだ。

下記サイトからの要約。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/071500148/072000003/
http://news.mynavi.jp/articles/2017/01/12/iot/


著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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