CLOSE UP コラム | IoTとは? いまさら聞けないIoTの意味と読み方

IoTとは? いまさら聞けないIoTの意味と読み方

CLOSE UP 事例

2016年08月08日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

IoTの意味と読み方

現在進行形で急速に拡大しているのが、IoT(モノのインターネット:Internet of Things)である。「Internet of Things」の頭文字から、IoT(アイオーティー)と読む。

モノのインターネットとは、家電、自動車、住宅などの生活分野から都市部の道路や産業機械にいたるまで、つまりプライペートからビジネスまでを構成する「モノ」が相互に接続するネットワークを意味する。

IoTにつながれた「モノ」は、膨大なセンサーデータを絶え間なく生成し続ける。人間が仕事、睡眠、エクササイズなど他の活動を行っている間も、情報を共有したりタスクを完了させたりすることができるため、生活やビジネスを改善するための無限大の可能性があると言われている。

ちなみにインターネットに接続するモノのことをIoTデバイスと呼ぶ。スマートフォン、インターネットテレビなどもIoTデバイスのひとつである。

IoTの具体的事例

IoT(モノのインターネット)は、次の3つの要素で構成されている。

  1. モノ(または設備資産)そのもの
  2. それらを相互接続する通信ネットワーク
  3. モノが送受信するデータを利用するためのコンピューティング・システム

「モノまたは設備資産はインフラを利用して互いに通信を行い、場合によっては、ネットワークを流れるデータの分析結果を踏まえてモノ自体の活動を最適化する」という一連の流れによって、自動認識や自動制御、遠隔計測などが実現する。

IoTの事例としては、自動車の位置情報をリアルタイムに集約して渋滞情報を配信するシステムや、人間の検針員に代わって電力メーターが電力会社と通信して電力使用量を申告するスマートメーター、大型の機械などにセンサーと通信機能を内蔵して稼働状況や故障箇所、交換が必要な部品などを製造元がリアルタイムに把握できるシステムなどがある。

http://www.sas.com/ja_jp/insights/big-data/internet-of-things.html
http://akispe.com/1051.html

IoTの背景

IoTという考え方が浸透したのは、2012年頃、インターネット接続によって製造業の競争力を高める「インダストリー4.0」という概念がドイツの国家戦略として発表されたことに端を発する。2014年には、インターネットを利用したサービスによる生産性、効率性向上を目的にした「Industrial Internet Consortium」(IIC)がアメリカの民間企業主導で立ち上がっている。日本では、成長戦略「日本再興戦略」のカギとなる施策として、IoTやビッグデータ、人工知能を活用した産業構造および就業構造変革の検討が行われており、2016年4月にはIoT分野における日独連携が成立し、IoTの標準化などを共同で進めていくことが発表された。

一方、ドイツのインダストリー4.0チームは、米国のIICとも連携してIoTで使われる技術の標準化への取り組みを進めている。昨今は、日独米の3カ国が中心となってさまざまな技術の標準化を策定し、ソリューション展開を推進している。

なお、IDC Japanが調査した「国内IoT市場 産業分野別 2020年支出額予測」によれば、日本国内では「組立製造」「プロセス製造」「公共/公益」「クロスインダスト リー」「官公庁」「運輸」が、「2020年にIoTの支出額が1兆円を超える分野」として予測されている。

なかでも支出額が最も大きくなると見込まれているのが製造業だ。もともと製造業は、M2Mで生産性の効率化に取り組んできた背景があり、そこにIoTのテクノロジーが加わることで、オペレーションやアセット管理、食品トレーサビリティなど本格的に市場が立ち上がることが期待されている。

現在IoTによって新しい価値創造が期待できる分野としては、「製造業」「自動車」「ヘルスケア・医療」「顧客対応」「農業」「建築・公共」などがある。


著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

最新TOPICS

【講演資料を公開】7/28【サービス事業者向け】中小企業が狙われた、サプライチェーン攻撃の手口を解説 ~サイバー攻撃の被害に遭う中小企業の3つの共通点と、その対策~(2022年08月27日 09:15)

2022-07-28(木)15:00 - 16:00 「【サービス事業者向け】中小企業が狙われた、サプライチェーン攻撃の手口を解説 ~サイバー攻撃の被害に遭う中小企業の3つの共通点と、その対策~」 と題したウェビナーが開催されました。 皆様のご参加、誠にありがとうございました。 当日の資料は以下から無料でご覧いただけます。 ご興味のある企業さま、ぜひご覧ください。

関連タグ

MapReduce(マップリデュース)

  • 用語集

「MapReduce(マップリデュース)」とは、大規模なデータを分散処理するためのプログラミングモデル。 分割されたデータの断片に加工を施し必要な情報を抽出するMap処理と、Mapで抽出した情報を束ねて処理結果を得るReduce処理の2段階に分けてデータ処理を行う。

クリックストリームデータ()

  • 用語集

Web サイトやオンライン・ショップにおける訪問者のアクセス・ログである。Web サイトやオンライン・ショップにアクセスした訪問者が、どのような順番に従ってWebサイト内を移動したのかという一連の履歴がわかる。来訪者はリンクをクリックしてサイト内を移動するため、「クリックの流れ」とも呼ばれる。

主成分分析(Principal Component Analysis)

  • 用語集

「主成分分析」とは、ビッグデータをはじめとした多変量データを統合し新たな総合指標を作り出し、多くの変数にウェイトをつけて少数の合成変数を作る統計手法である。ビッグデータ分析の現場などにおいて、多変量の情報をできるだけ損なわずに低次元空間に縮約する。多変量データを二次元や三次元データに縮約することで、データ全体の視覚化が可能となり、データのもつ情報を解釈しやすくなる。

バックナンバー

関連記事

無料資料プレゼント

2021/03/04 セキュリティDAYS Keyspider資料

講演資料を見るには、 プライバシーポリシーに同意して、送付先メールアドレスをご入力しご請求ください。

またご入力いただきました情報は、当該資料の作成・提供企業とも共有させていただき、当社及び各社のサービス、製品、セミナー、イベントなどのご案内に使用させていただきます。

本資料を見るには次の画面でアンケートに回答していただく必要があります。



セミナー講演資料公開中

【再放送】システム責任者が知っておくべき 「MySQLの高可用性/HA構成」 の選択肢と比較 〜 MySQLデータベースのダウンタイム“ゼロ”を目指す〜

システム責任者が知っておくべき 「MySQLの高可用性/HA構成」 の選択肢と比較 〜 MySQLデータベースのダウンタイム“ゼロ”を目指す〜

ネットワークエンジニアの減少で負担が増える、企業のネットワーク運用管理 〜監視と管理の統合により、さらなる運用効率化を実現〜

  • 書籍

Analytics News ACCESS RANKING

facebook

twitter