[2017年06月15日 ]
株式会社KSKアナリティクス
データアナリスト 足立 悠
前回は、製造業の皆さまに共通の課題、時系列センサデータから異常を検出する方法について、具体例を挙げて説明しました。今回は、AIを活用した技術ノウハウの継承をテーマに説明します。熟練者の技術ノウハウを非熟練者へ伝えることが難しい、技術ノウハウの定量化にAIを活用したいとお考えの方におススメの内容です。
例えば、次のような状況を想定してください。あるワイン製造メーカーでは、製造したワインの品質データを蓄積しています。
【ワインの品質を決める属性たち】 ・酒石酸濃度 ・酢酸濃度 ・クエン酸濃度 ・残留糖分濃度 ・塩化ナトリウム濃度 ・遊離亜硫酸濃度 ・総亜硫酸濃度 ・密度 ・pH ・硫酸カリウム濃度 ・アルコール度数 【ワインの品質】 ・良い(great) ・ほどほど(so-so) ※本データはUCI Machine Learning RepositoryのWineデータセットを基に作成しました。 熟練者が製造したワインは品質がgreat、非熟練者が製造したワインは品質がso-soです。熟練者と非熟練者が製造したワインは、何が影響して品質が異なるのでしょうか?つまり、非熟練者は何を改善すれば熟練者と同じ品質のワインを製造できるのでしょうか? ここでは、GUIで簡単に分析できるRapidMinerを使って、品質に影響を与える(品質と相関のある)要因を探ってみましょう。
アルコール度数、密度、塩化ナトリウム濃度の順に、品質に影響を与えている要因が分かります。具体的に各要因がどれくらいの数値以上(もしくは以下)ならば品質がgreatであるかは、決定木など説明しやすい機械学習アルゴリズムを使って確認する必要があります。これが分かれば、非熟練者のワイン品質so-soを熟練者のワイン品質greatへ近付ける定量的な指標を得ることができ、技術ノウハウの継承のヒントとして使えるでしょう。 ケース別データ分析事例その2として、今回はAIを活用した技術ノウハウの継承をテーマにお伝えしました。要因探し(説明変数探し)は一般的に、分析プロセスの中でモデルを作成する前に必要なステップです。
大手電機メーカーでエンジニア、事業会社でデータ分析者を経てKSKアナリティクスへ入社。機械学習・ディープラーニングを用いたレコメンデーション、異常検知を得意とする。また、分析セミナー講師や技術雑誌への記事執筆も行う。
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