「緊急通報システム」とは、自動車事故発生時に自動で警察や消防などの緊急対応機関に緊急通報を行うシステムのこと。
万が一交通事故が起きた時、運転手本人や同乗者が通報できない場合もある。コネクテッドカーが、エアバッグ作動や車両搭載センサーにより事故を検知し、カーナビなどに使われているGPSと連動し車の位置情報を自動送信することで、警察や消防に通報し、該当機関が迅速に現場に急行できる。
自動車事故によって失われる人命を減らすことに貢献できる機能として、各国で導入が進みつつある。
世界に先駆けてロシアでは、2017年1月から、ロシア国内で販売されるすべて新型車に緊急通報システム「ERA-GLONASS」の搭載が義務付けられている。
欧州では、2018年4月から、新型車に対して緊急通報システム「eCall」の搭載義務化が決定している。
「テレマティクス保険」とは、コネクテッドカーの自動車走行データや運転データを取得/分析した上で、事故発生確率を割り出し保険料率を算定する自動車保険のこと。
自動車保険会社は、このデータを活用して、「対象のドライバーがどの道をどれくらいの速度で走行したのか」「加減回数」「ブレーキ回数」などの情報を把握できるようになるため、対象のドライバーが安全運転をしているかどうかを保険料算出根拠として利用できる。普段から安全運転をしているドライバーに対しては、事故のリスクが少ないという判断が可能となるため、保険料を安く設定できる。
年齢/性別/車種などを主な基準にして保険料を算出していた従来の自動車保険と比較すると、より実際の運転傾向や走行距離なども含めた「ドライバーごとの実状や特性」に則した保険料を設定できる。また、利用者にとっては「安全運転をすると保険料が安くなる」という分かりやすいインセンティブとなるため、「安全運転に対する意識向上」「危険運転の減少」「自動車事故減少」につながる大きなメリットとなる。
日本においてもテレマティクス保険は本格的に普及しつつある。
あいおいニッセイ同和損害保険では、2015年4月以降の契約から、PAYD(Pay As You Drive)型テレマティクス保険「つながる自動車保険」を提供している。トヨタ自動車と連携し、車載テレマティクス端末から得られた走行距離に連動して保険料を算出する。
ソニー損保では、2015年3月以降の契約から、急発進/急ブレーキの発生状況などより保険料を算出するPHYD型テレマティクス保険「やさしい運転キャッシュバック型」の提供を開始している。
「盗難車両追跡システム」とは、車両の盗難が判明した場合に車両の位置を追跡できるシステム。
万が一車両が盗難されても、随時位置情報が送信され続けるので、盗まれた車の位置情報を把握できる。警察とデータ連携することで、より迅速な対応も可能となる。
車に通信機とセンサーを搭載しておけば、車両が異常を検知することによる自動通報も可能で、エンジンを停止させて始動できないようにする仕組みの開発も進められている。
GM社が1996年より提供しているテレマティクスシステム「OnStar」には、盗難車両追跡機能が搭載されている。
また、2007年には遠隔操作により緩やかに速度減速を行う機能が追加されている。
トヨタが提供しているテレマティクスサービス「T-Connect」では、車両盗難抑止機能を搭載している。
契約者の要望に基づき盗難車両の位置を追跡でき、一部の車両には通信でエンジン始動不可にするリモートイモビライザーが搭載されている。
また、車両に搭載されたセンサーがドアのこじ開けなどの異常を検知すると、所有者にメッセージを自動送信し、その車両が盗難された場合は、位置情報を自動で警備会社に送信する。
車両がネットワークに接続されることで、ドライブコンシェルジュサービスを受けられるようになる。
従来では、車でどこかに出かける場合には、事前に行く場所や営業時間などを下調べする必要があった。コネクテッドカーの場合は、「最適ルート検索」「駐車場検索」「飲食店検索」などについて音声操作で行える。
リアルタイムの最新情報を考慮した情報提供が行われるため、「渋滞しているルート回避」「空きがある駐車場の検索」「グルメサイトの評価や営業時間を考慮した飲食店のおすすめ情報取得」などが可能となる。
コネクテッドカーの場合、従来のカギは必要なくなり、特殊な暗号化データをカギとすることでスマートフォンをカギとして利用できるようになる。この機能を活用することで、個人の車を使用するカーシェアリングサービスの普及が期待されている。
従来のカーシェアリングでは、カギの受け渡しのために、貸出先利用者と直接顔合わせする必要があったが、コネクテッドカーの普及で車のカギがデータに切り替われば、鍵の受け渡しの手間がなくなる。
「自分の車を使っていない時間帯にカーシェアリングで貸し出すことで車の維持費をまかなう」などのことが行いやすくなる。
コネクテッドカーに、高度な自動運転技術が搭載され、世界中のすべての車が完全自動運転化されれば「交通事故は9割近く減少」すると言われている。
完全自動運転にまで至っていない現在でも、コネクテッドカーの情報提供機能や危険通知機能により、交通事故数減少につながると期待されている。
Consumer Watchdogレポートは、すべてのコネクテッドカーに必須の「キルスイッチ」を設置することを提案している。 Consumer Watchdogレポート ロサンゼルスに本拠を置く「Consumer Watchdog」は、コネクテッドカーのフリート規模ハッキングの危険性が増大しているという研究警告...
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