CLOSE UP コラム | 始動する、デジタルトランスフォーメーションの事例。

始動する、デジタルトランスフォーメーションの事例。

CLOSEUP コラム

2017年07月24日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

2016年、デジタルマーケティングを支援する株式会社IMJが主催する「I・CON 2016」が、虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された。同社にとっては20周年の節目を迎えたとともに、グローバルで総合コンサルティングサービスを提供するアクセンチュアの一員となって迎えた初めての大型イベントとなった。新たなフェーズを迎えるIMJの姿を提示するとともに、デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)に取り組む企業の最先端事例が紹介された。

社会全体にデジタルトランスフォーメーションが求められる時代。

スマートフォン、ウェアラブルデバイスなど生活者が利用するデジタルデバイスが急増し、世界中でインターネットに接続するデバイスの数は、人口の約3倍に到達したとも言われている。こうした環境において、生活者を理解し、その一人ひとりに最適化された価値や体験を提供するために、企業はデジタルマーケティングを実現し、ビジネス事例に限らず、社会全体にデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)求められる時代となった。

この前提をもとに事例を交えて行われたパネルディスカッション「デジタルトランスフォーメーションを実現できる企業、できない企業の境界線-経営・組織・人材の視点で成功のポイントを考える」では、従来の価値基準とは大きく異なるデジタルトランスフォーメーションを実現するための新しい人材の考え方、仕組みづくり、KPIの設計をはじめとした具体的アイデアや事例から、果ては企業の在り方についても言及。すなわち、生活者にとって魅力ある価値体験を提供するには、それを提供できる企業に生まれ変わらなければならないという大テーマへとつながった。

日本コカコーラによる「マーケティング3.0」トランスフォーメーション事例。

基調講演「新プラットフォーム『Coke ON』が拓く、日本コカ・コーラのデジタルマーケティング3.0戦略」では、日本コカ・コーラの豊浦洋祐氏による同社のトランスフォーメーションの事例を交えたセッションとなった。まず同社が2000年代初頭から提唱してきたIMC(Integrated Marketing Communication)や、グローバルでマーケティング戦略について紹介がなされた。

デジタルトランスフォーメーションの事例としては、2016年4月にローンチしたスマートフォンアプリ「Coke ON」事例が紹介された。この事例は、独自のスマート自動販売機と連動し、日本コカ・コーラと生活者の接点で価値を提供することを目的としている。同社は全国に約98万台ある自動販売機を一台でも多くスマート自販機にし、アプリのダウンロード数も拡大していくことで「Coke ON」をサービスプラットフォームとするCRM構想を描いている。

豊浦氏は「Coke ON」がプラットフォーム化していくことで、これまでコミュニケーションやコンテンツなどの「広告」によって成り立っていたマーケティングから、日本コカ・コーラにしか提供できない価値、「サービス」を軸にしたマーケティングに進化すべきだと展望を話した。

同社では、製品を中心とする段階、生活者を中心にした段階を経て、現在は生活者に提供する価値を中心に据えた「マーケティング3.0」が進行中だと語る。

同社が掲げるデジタルトランスフォーメーション「マーケティング3.0」は「デジタルとリアルを統合して、生活者とブランドに価値を提供し続ける」コンセプトのもとにあると解説した。

イベントではほかにも多くの事例を交えたセッションが開催された。日本ロレアルのデジタル戦略統括責任者CDO(Chief Digital Officer)長瀬次英氏は、同社がCDOを中心に進めるデジタル化について講演。長瀬氏はCDOという役割が将来的には、社内で最も顧客を理解している存在としてCCO(Chief Customer Officer)になっていくという見解を示した。さらには、社内でデジタルが当たり前になると、それを担う役割は必要なくなる。デジタルという言葉は口にされなくなり、全社員がCDOのように動けるようになったとき「企業のデジタルトランスフォーメーションは完了したと言える」と話した。

以上、下記URLからの要約
https://mag.sendenkaigi.com/senden/201701/pickup/009593.php


著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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