2015年10月19日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
ビッグデータを分析してタイムリーな需要予測を可能にした、大手楽器メーカーB社様のケーススタディをご紹介します。
キーボード、エフェクターなどの電子楽器を製造・販売されているB社様では、サプライチェーンシステムを刷新しました。同システムには需要予測機能がついていましたが、過去の売上の平均を算出して将来を予測する移動平均法など、一般的な機能しか備わっていませんでした。
KSKアナリティクスは、需要予測の精度を上げたいと考えていたB社様から、「オープンソースRで需要予測モデルを作って欲しい」という明快なオーダーをいだたきました。
そもそも需要予測とは、「何が売れるのか?」だけでなく、知見を先取りしながら「いつ、どこで、どれくらい売れるのか?」を正確に把握することで、近い将来の「新たな需要」に備えることです。
過大な予測は過剰な在庫確保につながって資金を圧迫し、一方、過小な予測は販売機会の損失につながります。需要を正確に予測することは経営の根幹に関わり、「需要予測こそが利益を創出する」といっても過言ではないのです。
需要予測の精度が上がれば、自社製品の売上規模を予測することも可能です。これによって、生産、販売、物流、在庫にいたる現場の意思決定を支援することができるのです。
このように企業活動の基本とも言える需要予測は、まさにビッグデータが得意とするジャンルであり、これまで担当者の経験や勘に頼っていた需要予測を行っていた場合、ビッグデータ分析によるモデルの導入で、圧倒的な成果があがります。
B社様がビッグデータによる需要予測に着目していたのは、流通在庫を最適化したいという命題があったからです。楽器はさまざまな細かい部品によって成り立っており、部品ごとに適性な在庫を管理すること企業の課題となっていました。
タイムリーな需要予測が可能になれば部品在庫の削減が可能となり、部品ごとのリードタイムに応じて安全在庫を設定することができる――という期待から、ビッグデータの活用に踏み切ったのです。
KSKアナリティクスでは、B社様からお預かりしたビッグデータをもとに、月次の売上数量をトレンドと季節傾向に分解しました。製品ごとに、あるいはクリスマス、入学式などの季節ごとに顕著な傾向を把握し、その分析にもとづいてオープンソースRでモデルを作成しました。
このモデルによって、12ヶ月間の月別の売上を予測することが可能となり、タイムリーな販売予測計画を立てることができるようになりました。さらに、発売中の製品だけでなく、発売前の製品についても需要予測が立てられるようになりました。
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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