2016年11月14日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
保有する膨大なユーザーデータを使って人工知能関連技術の開発に取り組む米フェイスブックは、2016年8月25日、同社の人工知能研究機関「Facebook AI Research(FAIR)」で開発しているディープラーニングを活用した画像認識関連の3つの技術「DeepMask」「SharpMask」「MultiPathNet」を研究論文とソースコードをGitHubで公開した。
これまでグーグルをはじめとして、様々なディープラーニングのフレームワークがオープンソース化されてきたなか、今回のフェイスブックの決定もその流れに沿ったものだといえる。とくにディープラーニングのなかでも画像認識に特化した同社の狙いは、注目されていると同時に発展途上である画像認識技術をオープンソース化することで、外部研究者の協力によって精度を向上させたいというもの。
フェイスブックは、同社の人工知能関連技術の開発機関FAIRの立ち上げ当初から、「コンピュータビジョン」研究に注力し、コンピュータが人間の目と同じように画像のオブジェクトをピクセルレベルで理解する技術を開発している。
今回公開されたディープラーニングを活用した3種類の技術は画像内のオブジェクトを抽出して識別するためのもので、同社がすでに発表している視覚障害者向け音声キャプションにも採用されている。
3種類の技術には、それぞれ特長があり、それぞれ連携して画像認識技術をかたちづくる。
画像内のオブジェクトを抽出する「DeepMask」、抽出されたオブジェクトの輪郭を描く「SharpMask」、そして輪郭がはっきりしたオブジェクトを解析するのが「MultiPathNet」である。
FAIRは公式ブログにおいて、画像を分類して物体を検出する画像認識技術について、「Convolutional Neural Network(畳み込みニューラルネットワーク)」と、ディープラーニングの技術により、過去数年間で大幅に進展しているとしている。
FAIR博士研究員、ピョートル・ダラー氏は、ディープラーニングを活用したこの技術を「完全ではないが、数年前には存在すらしなかった技術による結果だと思えば悪くない」と評価している。
将来的なビジョンとして、ダラー氏はこれらの画像認識技術を拡張現実(AR)と統合し、商業や医療分野で活用できるとしている。例えばスマートフォンのカメラで映した料理のカロリーを画面上に表示したり、通りすがりに見かけて気に入った商品をスマートフォンで映すことで商品名と価格、「今すぐ購入する」ボタンを表示するといったサービスが考えられるという。また、この技術を動画でも利用できるようにすれば、生放送に自動でコンピュータによるナレーションを付けることも可能になるとしている。
下記サイトからの要約。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1608/29/news051.html
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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