2017年03月06日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
2017年、人工知能の応用領域として注目を集めそうなのが、チャットボットである。
フェイスブックがチャットボットのプラットホームを発表し、マイクロソフトの新CEOが「チャットボットはコンピューティングのパラダイムシフト」だと宣言したのをはじめ、アメリカで若者に人気があるKik、高いセキュリティが特徴のTelegram、企業向けのSlackなど、世界中の有力チャットアプリの多くが人気を博している。一方、世界で最も商業化が進んでいるのは、日本とも言われている。
人工知能を活用したチャットボットの先駆け的な成功例は、日本にある。2014年に登場した「パン田一郎」というキャラクターだ。リクルートのアルバイト情報サイト「fromA navi」が提供するLINE公式アカウントに登場したパン田一郎は、雑談トークに加えて、バイト探しや給料計算に関する質問をしてもトークで答えてくれる。バイトの次回のシフトを教えておくと、忘れないように出勤前にLINEのトークでお知らせするなどの機能を備えている。
ここまでの機能を装備し人気になったチャットボットは、世界的に見てもほとんど例がないという。
現時点での有人対応のチャットで有効な領域は、いずれチャットボットとしても有効な領域になるものと考えられているが、とくに今後、期待されているのは、「パン田一郎」と同様のカスタマーサービスである。
カスタマーサービスは、その企業の製品やサービスに対する問い合わせに答えるため、シーンが限られていることが挙げられている。チャットボットは、 利用シーンと会話の目的が明確であり、会話がパターン化されているためである。
たとえば不動産事業者への問い合わせなど今まで敷居が高かったサービス、ダイエット、整形のようなコンプレックス系のサービスへの問い合わせなどにも有効だろう。
すでに人工知能を導入している企業も少なくない。
IBMが開発している人工知能「ワトソン」は、みずほ銀行などのコールセンターでも導入されている。「ワトソン」は音声認識によって問い合わせ内容を自動的に入力したり、オペレーターが手動で打ち込んだりすることで、問い合わせの回答の候補を表示してオペレーターの応対を手助けする。
また、シリコンバレーのスタートアップのWise.ioは、過去の顧客からの問い合わせ対応とその結果を元に、人工知能を用いて対応の優先順位をつけて自動的に割り振るツールを提供している。
現在はオペレーターの隣に人工知能がいて人間をサポートしている段階だが、ここにチャットボットを導入することで、チャットボットと顧客と会話して、困った時にオペレーターが手助けするというオペレーターがバックヤードに回る仕組みに変化していくのではないかと期待されている。
下記サイトからの要約。
https://www.nelco.com/ja/chatbot-customer-service/
http://www.newsweekjapan.jp/yukawa/2016/09/ai-2.php
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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