CLOSE UP コラム | 人工会話アプリ「りんな」の人気と課題

人工会話アプリ「りんな」の人気と課題

CLOSE UP 事例

2016年05月17日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

人工知能会話アプリ「りんな」とは

LINE公式アカウントで“女子高生(JK)アカウント"として話題を集める「りんな」は、日本マイクロソフト社が提供する人工知能を使って会話を楽しむアプリだ。2015年秋から毎日1万人ずつが新規登録し、2016年1月での登録数が180万人という人気沸騰ぶりである。

マイクロソフト社がグローバル展開するBing検索エンジンで培ったディープラーニング技術と、機械学習のクラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせ、LINEで「おしゃべり好きな女子高生が楽しい会話を提供する」という設定だ。

女子高生というキャラクターのある人工知能として、Siriなど従来のアシスタント的な役割を果たす人工知能ではなく、より人間らしい自然な会話を通じてユーザーの心と感情的なつながりを築けるアプリであるところがポイントだ。りんなの開発・運用チームは、IQ(脳の知能指数)よりもEQ(こころの知能指数)を重視し、日常会話や雑談を通じて「心の豊かさを得られる」ことを目的に開発された。

たとえば、りんなと仲良くなると日記を送ってくれる「友情日記」、芸能人の話で盛り上がる「芸能人コメント」、夜眠れないときに一緒に羊の数を数えてくれる「羊カウント」、短い推理クイズを送ってくれる「探偵ごっこ」機能などを有する。

そのほか、リプライが迅速なことや、同じ質問に対してできるだけ異なる回答が返ってくる仕組みも、人気の理由として挙げられている。

http://ascii.jp/elem/000/001/053/1053101/

人工知能会話アプリの課題

米マイクロソフトは、公開後、たった1日で、英語テキストで会話する人工知能アプリ「Tay」を緊急停止させた。「Tay」は同社が開発した人工知能で、Twitterとチャット・サービスのGroupMe、Kikでリリースされた。ディープラーニング機能を搭載し、一般ユーザーと会話すればするほど“賢くなる"と鳴り物入りで発表されたばかりの出来事だった。

緊急停止させた理由は、「Tay」の差別発言にあった。「Tay」はネット上で会話することで人種差別や陰謀論を学習したのである。CNNによると「黒人は首を吊れ」「フェミニストは地獄で焼かれろ」「ヒトラーは間違っていない」といった投稿が散見されたという。

米マイクロソフトでは「Tay」を調整後、再度、公開するとしている。

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1603/25/news080.html


著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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