2016年08月22日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
2016年2月にアメリカで行われた『ガートナー エンタプライズ・アプリケーション & アーキテクチャ サミット 2016』において、ITのオピニオン・リーダーであるガートナー社が、2017年のIoTテクノロジ・トレンドのトップ10を発表した。今後2年間を通じてすべての企業がIoTの潜在価値をフルに引き出すことを可能にする10のテクノロジである。
(1)IoTセキュリティ
IoTによって、広範囲に新しいセキュリティ・リスクと課題が生み出されている。新しい脅威に対処して情報攻撃と物理的な改ざんの両方からIoTデバイスとプラットフォームを保護するための、セキュリティ・テクノロジは欠かせない要素になる。
(2)IoTアナリティクス
データ量が増加し続けるなか、IoTのニーズと従来のアナリティクスとの乖離はさらに広がり、新たな分析的アプローチとして新しいアナリティクス・ツールとアルゴリズムが求められるようになる。
(3)IoTデバイス の管理
数千、場合によっては数百万ものIoTデバイスを長期にわたって使用するための、管理・監視ツールが求められるようになる。
(4)省電力の短距離IoTネットワーク
2025年末まで、省電力の短距離ネットワークが無線IoT接続の趨勢となり、その数は広域IoTネットワークを使った接続を上回ると予測されている。IoTデバイスの接続に無線ネットワークを使用する場合、範囲やバッテリ寿命、帯域幅、密度、エンドポイント・コスト、運用コストなど、相反するさまざまな要件のバランスをとることが求められる。
(5)省電力WAN (広域ネットワーク)
広域IoTの長期的な目標、それは数百bpsから数十kbpsまでのデータ・レートを実現しながら、全国規模のカバレッジ、最長10年のバッテリ寿命、低価格のエンドポイント・ハードウェア (5ドル前後)、ベース・ステーションや同様の基盤に接続している数十万に及ぶデバイスのサポートといった要件を満たす仕組みが求められる。
(6)IoTプロセッサ
強力なセキュリティと暗号化のサポートや消費電力、OSのサポートに十分な先進性、アップデート可能なファームウェア、内蔵のデバイス管理エージェントなど、プロセッサ選びには深い技術的なスキルが求められる。
(7)IoT専用OS
WindowsやiOSをはじめとする従来のOSはIoTアプリケーション用に設計されたものではない。大量の異なるサイズのハードウェアと機能のニーズをサポートできるような、IoT固有の多様なOSが数多く開発される。
(8)イベント・ストリーム処理
一部のIoTアプリケーションは、リアルタイムの分析が必要な超高データ・レートのデータを生成する。1秒当たりの生成イベント数が数万というIoT環境をサポートするために登場したテクノロジが、分散ストリーム・コンピューティング・プラットフォーム (DSCP) であり、このような超高レートのデータ・ストリームを処理が求められる。
(9)IoTプラットフォーム
多くのインフラ・コンポーネントを単一の製品に同梱して提供するIoTプラットフォームが求められる。
(10)IoTの標準とエコシステム
APIとしてのエコシステムが求められる。製品のライフサイクル全体を通じて標準の進化や新しい標準と関連APIの出現に適応していくために、製品をアップデートしていく準備をする必要がある。
https://www.gartner.co.jp/press/html/pr20160311-01.html
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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