2016年11月28日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
2016年7月、米グーグルが2種類の機械学習APIをオープンベータに移行したことを発表した。
すなわち、自然言語処理API「Google Cloud Natural Language API」と音声認識API「Google Cloud Speech API」である。
自然言語処理API「Google Cloud Natural Language API」では、ユーザーはテキストの構造や意味を分析できるようになる。現在は英語とスペイン語、日本語が利用可能となっており、今後、言語は増えていく予定。
音声認識API「Google Cloud Speech API」は、「Google Search」が採用しているニューラルネットワーク技術を活用し、80種類を超える言語に対応して音声をテキストへ変換できる。またどのようなアプリケーションからでもリアルタイムストリーミングあるいはバッチモードで利用できるほか、騒音環境やリアルタイムで使うための機能も充実している。グーグルでは「見る、聞く、翻訳するためのAPI一式を提供する」と謳う。
すでに5,000社以上の企業がこの音声認識APIのアルファ版を利用するために登録していることでもわかるとおり、いま、注目を浴びているAPIである。
今回、音声認識API「Google Cloud Speech API」を開発者へ開放したことは、業界に波紋を投げかけている。
Googleの音声認識APIは、既存のサービスより優れた機能を提供するだけでなく、低価格で提供されると言われているからだ。
まず、業界最大手であるNuanceをはじめとする既存の音声認識プロバイダーとの競合が懸念されている。
グーグルの音声認識APIについては、このような噂がたっている。当初、衆目の関心を集めるために完全無料で提供される。その後の有償化においても、既存サービスより低価格のプランが用意される可能性が高い。さらにグーグルが音声認識業界のトップに立った後に、値上げするのではないかと、というものだ。
音声認識APIの公開は、Nuanceなどの音声認識プロバイダーに影響を与えるだけでなく、Appleへの牽制と見ることもできる。同社のバーチャルアシスタントSiriの音声認識能力は、Google製と比べて影が薄く、開発者がSiriの技術をアプリで使うためのAPIもまだ提供されていないからだ。
これまでもグーグルは、限定的に自社の音声技術を提供してきた。たとえば2015年には「Voice Interaction API」を発表しており、Androidの開発者はアプリに音声操作を追加することができるようになった。しかし、これまで音声認識APIの直接アクセスを開放したことはなかった。今後の動向が注目される。
下記サイトからの要約。
http://jp.techcrunch.com/2016/03/24/20160323google-opens-access-to-its-speech-recognition-api-going-head-to-head-with-nuance/
http://japan.zdnet.com/article/35086189/
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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