2015年11月23日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
会員データの分析によって顧客の離反の軽減に成功した、大手プロバイダーサービスC社様のケーススタディをご紹介します。
当時、C社様は、マーケティング部門が次に打つ手を考えあぐねていました。すなわち、「プロバイダーサービスの解約率を軽減するには何が必要か?」という課題でした。
C社様の課題は、現在、多くの企業が抱えている課題でもあります。
過去20年間で、消費者向け月ぎめ契約サービスの種類は急増しています。携帯電話、ケーブルテレビ、Wi-Fi機器によるインターネット接続サービス、そして、プロバイダーサービス。消費者がこうしたサービスに支払う月額料金は年々上昇し、プロバイダーサービスに限らず、すべての業種において同業他社による競争が激化しています。
消費者にとっては選択肢が増えづつける一方、サービスを提供する企業にとっては顧客との長期的な関係を取り結ぶために顧客離反防止の施策を施すことが、新規顧客を獲得するのと同等の意味を持ってきています。
顧客は、何をトリガーにして離反するのか?
企業がそのトリガーを理解することは、企業の死活問題として極めて重要視されているのです。
顧客の離反は、消費者のカスタマー体験が競合他社の類似サービスと比較したときや、消費者自身の期待と比較したときに、その期待値が下回ったときに起こります。
なかでもこれまで一定以上の利用があったにも関わらず離反を決めた顧客は、実は企業にとって貴重な情報を持っていることが少なくありません。離反顧客は、サービス継続中の消費者が気づいていない、あるいは他の利用者は問題としない不満やトラブルを内包している「離反要因情報の保有者」でもあるからです。
離反要因を知ることは、企業が改善すべき課題を理解することにつながり、ひいては中長期的な視野にたったマーケティング施策にもつながります。
それでは、離反要因は、どのような方法で把握すれば良いのでしょうか。
一般的な顧客満足度調査では、離反要因の特定は困難です。調査するのではれば、調査対象を「顧客」ではなく「離反顧客」を対象とすべきですが、現実的ではありません。
離反要因を知るための一般的な手法としては、コンタクトセンターに寄せられた要望やクレーム、販売員・営業員などが現場で収集するヒアリング情報、そして会員データをもとにしたビッグデータ分析が効果的です。
C社様は、「プロバイダーサービスの解約率を軽減」し、「中長期的視野にたったマーケティング施策を行う」というゴールを明確にして、KSKアナリティクスにビッグデータ分析を依頼しました。
C社様マーケティング部門では、「どういう人が、どういう動機で解約するのか?」、「何が、解約率にインパクトを与えているのか?」という要因分析を次のマーケティング施策の論拠にしたいと考えていたのです。
KSKアナリティクスでは、C社様がマーケティングを施策する際に論拠となるデータを揃えるために、あらかじめ該当データをマート化しておくことに主眼をおきました。
さらに離反要因をさぐるために、決定木モデル分析というデータマイニングの手法を取り入れました。
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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