CLOSE UP コラム | オープンデータとSNSテキストマイニングで、アメリカにおける潜在顧客を可視化したビッグデータ活用事例~大手食品メーカーE社様(後編) 

オープンデータとSNSテキストマイニングで、アメリカにおける潜在顧客を可視化したビッグデータ活用事例~大手食品メーカーE社様(後編) 

CLOSE UP 事例

2016年02月15日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

数千万人のリアルタイムのビッグデータから知見を得ることができる、SNSテキストマイニング。

オープンデータ活用後、SNSからテキストマイニングを行い、アメリカにおける潜在顧客を可視化し、知見を見い出した大手食品メーカーE社様のビッグデータ活用事例をご紹介します。

「北米という販売拠点で、既存商品を特定のターゲットに向けて売りたい」という販売戦略を立てるにあたり、ビッグデータを活用することにしたE社様では、公共の統計情報であるオープンデータで大まかな地域情報を把握した後、KSKの提案を受けてビッグデータとしてのSNS、なかでもツィッターのテキストマイニングを実施しました。今回のターゲットである「北米在住の20~40代主婦」は、アメリカ国内でのツイッター利用者のうち4分の1を占めているからです。

SNSは、何千万人分のリアルタイムのビッグデータから知見を得ることができます。とくに今回は、ツィッターのテキストマイニングを行うことで、既存商品名という狭い範囲ではなく、(キャンディ、チョコレート、ガムなどの)食品カテゴリーについてつぶやかれたキーワードを重ねあわせることで、潜在顧客の地域以外の知見が豊富に見つかりました。

たとえば、食品カテゴリーに合致するキーワードと、地域情報を組み合わせることで、地域別に影響力の強いショップやトレンドを把握することが可能となりました。

たとえば「Aショッピングモール×Bキャンディ」といったような組み合わせキーワードが散見された場合、「BキャンディはAショッピングモールで購入する人が多い」といったような発見があるのです。

また、潜在顧客は北米在住ですので、当然、つぶやきも英語となります。文化圏の違いから、当初、想定していなかったキーワードを手探りで探しながら、カテゴリーの単語を結びつけるような分析を行いました。

このようにしてオープンデータと、ツィッターのビッグデータをマッピングすることで、潜在顧客が多く生息する地域を見極めた独自の販売戦略レポートが出来上がりました。

写真をビッグデータとして取り入れ、既存商品の新しいイメージのヒントに。

さらに食品という特性を活かし、写真という情報としてビッグデータとして活用することができました。人びとは、自分の好きな食べ物の写真をとることが好きです。ことにSNSでは、食品の写真が数多くアップロードされます。そのなかで、既存商品のカテゴリーでは、食品を消費するだけでなく、イースターエッグのように装飾品として楽しむ人が少なからずいるという知見も得ることができました。

この知見からは、潜在顧客の地域選定だけでなく、イースターやバレンタインなどのイベントと絡ませることで、既存食品が新しいイメージとともに生まれ変わる可能性をも示唆しています。

潜在顧客の地域を探るというざっくりした課題に対して、ビッグデータを活用することでここまで可能性が広がります。この手法は、食品に限らず、エンドユーザー向けの製品であれば応用できる手法だといえます。

【ケーススタディまとめ】
―SNSデータ分析から製品の利用地域と使い勝手を把握できた。
―オープンデータの活用により地域を具体的に把握でき、SNS分析と合わせてGIS可視化。
―地域別に影響力の高い言葉、流行の話題を把握し、戦略作成の参考にできた(X地域のイノベーター・アーリーアダプターを発見できたetc)


著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

最新TOPICS

【IoTで空港を快適に】スイスのジュネーブ空港「乗客が行列に並ぶ時間を半減」「業績を前年度の5倍以上にアップ」に成功---BluetoothとWi-Fiセンサーを活用(2016年06月21日 10:03)

スイス国内で2番目に利用者数の多いジュネーブ空港は、 「乗客が行列に並ぶ時間を半減」「業績を前年度の5倍以上にアップ」に成功している。 【改善方法】 ・施設内でBluetoothとWi-Fiセンサーを活用 ・乗客のリアルタイム計測/高度データ分析 ・空港スタッフ数の最適化 ・セキュリティチェックの可視化 ・Wi-Fiセンサーは空港内各所に設置  →行列に並んでいる人数/待ち時間...

最新CLOSEUPコラム

関連タグ

バックナンバー

関連記事

無料資料プレゼント

2021/03/04 セキュリティDAYS Keyspider資料

講演資料を見るには、 プライバシーポリシーに同意して、送付先メールアドレスをご入力しご請求ください。

またご入力いただきました情報は、当該資料の作成・提供企業とも共有させていただき、当社及び各社のサービス、製品、セミナー、イベントなどのご案内に使用させていただきます。

本資料を見るには次の画面でアンケートに回答していただく必要があります。



セミナー講演資料公開中

文書を作る過程における情報(Slack/Teamsでのコメントなど)をどう管理、共有するべきか? ~新しい文書情報管理の考え方~

世界最高峰のリアルハッカー集団を活用した脆弱性対策 ~米国政府も採用、脆弱性診断・ペネトレーションテストを大胆に変革する方法~

SMS認証の代替手段、より高セキュアな“電話発信認証サービスTELEO”とは? ~スマホによる多要素認証の比較と、SMS認証のリスク~

  • 書籍

Analytics News ACCESS RANKING

facebook

twitter