CLOSE UP コラム | 人工知能の定義(汎用型と特化型、強いAIと弱いAIの違い)

人工知能の定義(汎用型と特化型、強いAIと弱いAIの違い)

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2017年01月23日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

人工知能の定義

人工知能(Artificial Intelligence, AI)というキーワードが注目を浴びるなか、その定義は、実は、あいまいになっている節がある。本稿では、その理由も含めて、出来得る限り、その定義に迫りたい。

東京大学で人工知能やウェブ、ビジネスモデルの研究を行い、「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」など多くの関連書籍を著している松尾 豊氏によると、人工知能とは「人工的に作られた人間のような知能 」だと言う。

この非常に茫洋とした言い回しからもわかるとおり、2016年の段階では、人工知能についての厳密な定義というものはまだ確立していないことがわかる。

人工知能研究の歴史は100年近くあり、人工知能技術はコンピュータ自体の存在意義である「計算や処理の自動化」を担う中心的なテクノロジーとして、研究開発が盛んに行われてきたが、2010年前後から始まった人工知能第三次ブームでは、技術が飛躍的に進化してこともあり、現実の開発が研究を追い抜いているような状況が推察できる。

2016年現在の人工知能を機能面から捉えると、次の5種類に分類できる。

(1)「言語」を扱う人工知能

文章や言語の認識、分析、生成を行う。

(2)「画像」を扱う人工知能

画像や映像の認識、分析、生成を行う。(コンピュータ・ヴィジョン)

(3)「音声」を扱う人工知能

音声の認識、分析、生成を行う。

(4)「制御」を扱う人工知能

自動車、家電、機械、設備などの制御や操作を行う。(IoT)

(5)「最適化や推論」を扱う人工知能

複雑な課題を解決するための、推論エンジン的な役割

例)
検索エンジンの結果やネット掲載広告の最適化
囲碁や将棋やコンピュータゲームの攻略
複雑な最適化問題の解決

「汎用型人工知能(AGI)」と「特化型人工知能」の違い

長い人工知能研究の歴史の中で、定義も時代によって変わってきたが、そのゴールも変更されてきた。当初設定されていた人工知能のゴールは「人間と同等の知能を実現する」ことにあったが、この目標では難易度が高いことが明らかになった近年では、「人間のような知能 」(人間の知能に限りなく近いが、その能力には差異がある)というゴールも新たに設定されるようになった。

現在の研究対象は、個別の領域に特化して能力を発揮する「人間のような能力」をもつ「特化型人工知能」と、異なる領域で多様かつ複雑な問題を解決する「人間と同等の知能」をもつ「汎用人工知能(AGI: Artificial General Intelligence)」というふたつの潮流がある。

強いAIと弱いAIの違い

さらに「強いAIと弱いAI」(Strong AI and Weak AI)という論争もある。「強いAIと弱いAI」とは、人工知能(AI)が真の推論と問題解決の能力を身につけられるかどうかという論争である。

ディープラーニングを駆使したサービスを提供するLEAPMIND株式会社の松田総一氏によれば、「強いAI」とは「人工知能らしい人工知能」を意味するという。すなわち人間の脳のすべてを再現しようとするアプローチを「強いAI」だとする考え方だ。

そのほかにも先に紹介した「汎用型人工知能(AGI)」も「強いAI」のひとつである。AGIは、人間レベルの知能の実現を目指しているため、他のAIプロジェクトと区別するためにAGIと呼ばれている。しかし短期間で人間の知能の複製はできないという見方も強まり、現在では一部の少数の研究グループがAGI研究を行っている。

「強いAI」は全能であるが、一方、そこには「強いAIは本当に実現可能か」という課題が立ちはだかる。全能の人工知能には、経験、直感、魂、人格などの人間しか持ち得ない能力を科学的に解析することが求められるからだ。

もし「強いAI」が誕生すれば、当然ながらビジネスシーン、そして社会全体は大きく変貌するだろう。しかし、人工知能の定義も茫洋としている現在、その山頂に至るまでには多くの課題が待ち構えているのが人工知能研究の現状のようだ。

下記サイトからの要約。
http://www.sejuku.net/blog/7290


著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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