2017年04月17日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
米国の調査会社Gartnerが2016年2月初旬に発表したビッグデータ解析ツールであるBI(ビジネスインテリジェンス)およびBA(ビジネスアナリティクス)製品に関するベンダー評価レポートと、同じく2016年2月に国内のIT専門調査会社 IDC Japan 株式会社が発表したビッグデータ解析ツールである国内BA市場の2015年上半期の分析レポートから、BI/BAツールの動向を紹介する。
Gartner社によれば、2016年はビッグデータ解析ツール、すなわちBAツール市場に大きな変化があったという。新規購入の大半がビジネスユーザーを中心に据えた最新のプラットフォームであることから、市場に新たな視点が加わり、ベンダーのランキングも大きく変動している。
新たなランキングで上位に入ったのは、Tableau Software、Qlik、Microsoftの3社だ。Gartnerが2016年版で「リーダー」と評価したビッグデータ解析ツールであるBI/BAベンダーはこの3社のみとにった。一方、2015年版でリーダーに選出されたMicroStrategy、IBM、SAP、SAS Instituteは、2016年版では「ビジョナリー(概念先行型)」に格下げされた。
こうした変化の背景にはGartnerが評価に際し、ビジネスユーザーのサポートに、より重きを置くようになったことがある。レポートによると、ビッグデータ解析ツールであるBIレポーティングソフトウェアは徐々に事業部門が購入するケースが増えてきているという。この変化を認識しているベンダーは高得点を獲得し、そうではないベンダーが順位を下げたのである。なかでも2015年版からの最大の変化は、Oracleがランキング外となっていることだ。これも、ビジネスユーザー指向に対する対応が、評価に影響したという。
一方、新たにランキングに加わったベンダーの中で最大手はクラウドCRM(顧客関係管理)サービスを提供するSalesforce.comだ。他にも2015年版では圏外だったBeyondCore、ClearStory Data、Domo、Platfora、Sisenseなどが2016年版ではランク入りしている。これらのベンダーは新しい評価基準を全て満たし、全ベンダーの上位24社にランクインした。
レポートによれば、ビッグデータ解析ツールであるBI/BAツール市場では向こう数年間、柔軟性とセルフサービス機能を重視する傾向が強まる一方だという。この見方が正しいのなら、Oracleをはじめ2016年版においてランキング圏外となったベンダー各社が今後成功するためには、よりビジネスユーザー指向のサービスを展開していく必要があるだろう。
国内のIT専門調査会社 IDC Japan 株式会社による、ビッグデータ解析ツールである国内BA市場の2015年上半期の分析では、次のような動向がレポートされている。
IDCによると、2015年上半期のビッグデータ解析ツールである国内BA市場規模は、前年同期比9.3%増の923億3,200万円で拡大継続しているとのこと。
2015年上半期のビッグデータ解析ツールである国内BAソフトウェア市場は、マーケティング分野での非構造化データの活用の広がりなどビッグデータテクノロジー活用企業の広がり、セルフサービス型BIツールの普及による利用シーンの拡大などから高い成長を遂げている。
国内BAソフトウェア市場は中期的にIoTやリアルタイム分析、コグニティブシステムの普及などから、従来のようなビジネスの現状把握や将来予測のためのツールとしてだけではなく、新規ビジネスのアプリケーション基盤として利用場面が拡大していくと予測。
また2015年~2019年のビッグデータ解析ツール予測については、年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は6.2%、2019年の市場規模は2,352億6,600万円に達すると予測している。
下記サイトからの要約。
http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1603/03/news05.html
http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20160215Apr.html
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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