2017年04月03日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
ビジネスにおけるビッグデータ活用が進み、ビッグデータ解析のために人工知能を採用することに期待が高まるなか、ビッグデータと人工知能(AI)との関係について考察する。
ビッグデータはその名の通り、膨大かつ高頻度で更新されているデータ群である。これまで「抽出」「加工」「分析」「レポート」「情報化」というビッグデータ解析の工程のなかで、「抽出」から「レポート化」までを解析ツールが行い、最終段階にあたる「情報化」は人間が行うのが一般的だった。要するに、ビッグデータを最終的に有用な情報へと変換するためには、人間の知能がなければ成しえなかったのである。
ところが、人工知能(AI)のなかでもディープラーニングの登場で、知識を蓄積、学習し、自ら意思決定を下す人工知能が増加している。センサーなどから取得したデータを取り込み、蓄積し、データを構造化した上で最適な次の戦略を導き出す人工知能もすでに登場している。実用化は、時間の問題とも言われている。ここでは、ビッグデータの解析においては、「情報化」するのが人工知能(AI)という関係性が見える。
脳神経科学者であり、マッキンゼー社のコンサルタントを経て、現在ヤフー株式会社で執行役員をつとめる安宅和人氏は、2016年3月のイベントのなかで人工知能(AI)とビッグデータの関係性について語った。安宅氏によると、ビッグデータがなければ機械学習ベースの人工知能(AI)は無力であり、また人工知能(AI)がなければ、ビッグデータの活用はおぼつかないため、ビッグデータと人工知能(AI)は、相互に入れ子構造になっていると言う。この入れ子構造が関越に運営されるようになれば、「ビッグデータと人工知能(AI)は、人間を情報処理から開放する」と言う。
ビッグデータが、これまでの定量的・定性的な調査で得られるデータと決定的に異なるのは、デバイスやセンサーを保有するすべての人の、すべてのログ情報が取得できる「全量性」と、データ取得から利活用までの時間が圧倒的に短く、ほぼ遅滞なく使うことができる「リアルタイム性」にある。
ビッグデータと呼ばれるログデータは、以前はまったく見えなかったパターンまで可視化する。またリアルタイム性については、たとえばデジタル広告を出稿した場合、得たデータを0.2秒後に利用できるのか1分後に利用できるのかというデータの鮮度が成果に大きく影響する。「データはもはや“鮮魚"。速く使えることが価値を生む」と安宅氏は語る。
このようなビッグデータをリアルタイムで処理し、利活用するには人工知能(AI)の力が不可欠となる。現在の主流である機械学習ベースの人工知能(AI)では、「識別」「予測」「実行」の工程で、自動化を実現する。
一方、機械学習ベースの人工知能(AI)は厖大なデータで訓練を行なうことで初めて機能するようになる。パラメータの多いディープラーニングはとりわけ訓練に必要なデータ量が多いため、「ビッグデータと人工知能(AI)は入れ子構造」として持ちつ持たれつの関係性と生まれる。人工知能による情報処理環境と情報科学、そしてビッグデータ。この3つがセットになって、新たな価値が生まれていくのである。
下記サイトからの要約。
https://www.imkk.jp/blog/what-is-artificial-intelligence.html
https://markezine.jp/article/detail/24121
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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