2016年01月25日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
オープンデータ活用後、SNSからテキストマイニングを行い、アメリカにおける潜在顧客を可視化し、知見を見い出した大手食品メーカーE社様のビッグデータ活用事例をご紹介します。
E社様のマーケティング部門では、北米在住の20~40代主婦をターゲットにした既存食品の販売戦略をリストラクションする必要に迫られていました。販売経路が変更になったからです。それまでは代理店(販売チャネル)を通じて行っていた販売を、アメリカで新たにグループ企業を立ち上げ、グループ企業を拠点に潜在顧客を開拓することになったのです。
販売戦略で製品もターゲットも明確に決まっている場合、次に特定すべきは潜在顧客が在住する地域です。製品が利用されている地域を把握し、どの地域で販売するかを見定める必要があります。
すなわち「既存商品を特定のターゲットに向けて売りたい。そのためにはどこで売れば効率的か?」という潜在顧客の地域を見極めるための指針として、ビッグデータを活用したのです。
ターゲットにフィットする地域を探すため、KSKではビッグデータの活用を二段階で提案しました。
ひとつ目は、販売地域を特定するためにオープンデータを活用すること、さらにリアルタイムなデータとしてSNSを活用することです。
オープンデータとは、行政機関が保有する地理空間情報、防災・減災情報、調達情報、統計情報などの公共データであり、利用しやすい形に成形されパプリックに公開されています。とくにアメリカのオープンデータは、日本よりも充実していることで定評があります。
KSKでは、まずは北米のオープンデータを活用し、基本的な人口や所得データから、ターゲットの年齢別人口、所得、世帯数を把握しました。
オープンデータでおおまかにターゲットの暮らす地域を把握した後、さらにビッグデータとしてのSNSを活用したのです。SNS、なかでもツイッターをテキストマイニングすることで、どのような地域で該当の食品が消費されているのかを把握できます。しかもオープンデータとは違い、SNSはリアルタイムの情報が流れてきますので、ターゲットの「今」を赤裸々に把握することも可能です。
ビッグデータを二つの方法で採取し、さらにデータを組み合わせマッピングすることで、アメリカでの潜在顧客を絞り込むことに成功しました。
ビッグデータを活用しなければ、現地スタッフの経験値など属人的な力に頼っていたところを、ビッグデータの複数活用によって、土地勘のないエリアでも、公正で客観的な情報を可視化することができたのです。
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
スイス国内で2番目に利用者数の多いジュネーブ空港は、 「乗客が行列に並ぶ時間を半減」「業績を前年度の5倍以上にアップ」に成功している。 【改善方法】 ・施設内でBluetoothとWi-Fiセンサーを活用 ・乗客のリアルタイム計測/高度データ分析 ・空港スタッフ数の最適化 ・セキュリティチェックの可視化 ・Wi-Fiセンサーは空港内各所に設置 →行列に並んでいる人数/待ち時間...
Analytics News ACCESS RANKING