2016年03月21日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
ビッグデータ活用で、それまで個々の能力によってばらつきがある属人的な営業スキルを標準化し、一律で営業成績の向上を目指すことに成功した大手消費財メーカーG社様の事例をご紹介します。
G社様代理店営業部では、営業成績が営業マンごとにばらつきがあることに強い問題意識を抱いていました。また、指導する先輩社員のスキルによって差異があった新人研修プログラムについても、誰が指導しても一定の水準に保つための方策を練っていました。
要するに、成績優秀な営業マンのスキルを全社的に共有し、落ちこぼれ社員をなくすための施策を練っていたのです。
KSKでは、落ちこぼれ社員をなくし、全社的に目標を達成させるために、ビッグデータを活用し、達成している社員と達成していない社員の差異を可視化する仕組みを提案しました。
具体的には、SFA(Sales Force Automation:営業プロセスや進捗状況を管理し営業活動を効率化するためのシステム)データや、会社から支給されているスマートフォンに蓄積された行動履歴などのビックデータをクラスター分析、決定木分析することで、成功している営業マンとそうではない営業マンの行動の違いを明らかにしたのです。
これによって、しきい値以上の結果を出している営業マンには、商談回数やアプローチ方法などに、一定の傾向があることがわかりました。たとえば「問い合わせから契約までに何段階のステップを踏むか?」または「クライアント訪問の際、何回目で上司を伴って訪問しているか?」などに顕著な傾向が現れたのです。
さらに成績優秀な営業マンの日報をテキストマイニングで分析したところ、日報の書き方にも特長が見られました。たとえば、「むやみに長い文章ではなく、箇条書きにしている」「かならず数値化された情報が入っている」といったような傾向です。
この成績優秀な営業マンのノウハウは、いわばその会社固有の“成功哲学"でもあります。
その後、このデータはナレッジ化され、新人研修の教育プログラムにも盛り込まれることになりました。副次的な効果として、このビックデータ分析が、新人研修の場でも役に立つことになったのです。
営業スキルという一見、属人的なノウハウであっても、ビックデータを活用することで全社的に有益な“成功哲学"になりえるのです。
【ケーススタディまとめ】
―営業フェーズでの課題の洗い出しにより営業アクションが具体的になり、経験の浅い営業担当者でも一定の水準の提案が可能になった。
―目標達成社員の報告書は、未達成社員に比べ数値情報が多い(例:達成→受注見込80%以上、未達成→ほぼ受注取れる見込)などが分かり、日報の書き方指導ができた。
―行動履歴を地図上にプロットし経路を可視化することで、担当エリアの見直すことができた。
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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ETLとは「Extract」「Transform」「Load」の略で、さまざまな場所(販売管理システム/顧客管理システムなど)に別々に存在している雑種多様なデータを抽出し、利用しやすいようにデータを再編集した後に、データウェアハウス(DWH)のような情報倉庫に出力する処理を指す。
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