2016年06月27日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
機械学習の手法のなかでも圧倒的な精度を誇るディープラーニング(Deep Learning、深層学習)と、ディープラーニングで扱われる計算アルゴリズムであるニューラルネットワーク。それぞれの違いを解説する。
ディープラーニングは、その精度の高さから機械学習の代名詞のように使われることも多い。このディープラーニングで活用されるニューラルネットワークは、脳神経系をモデルにした情報処理システムである。ニューラルネットワークは、学習能力を持ち、必要とされる機能を、提示されるサンプルに基づき自動形成することができる。とくに画像認識や、音声認識など、従来、コンピュータが苦手とされていた処理に対して有効である。
ニューラルネットワークは、入力層、隠れ層、出力層の3種類の層から成る。入力に対して単純な変換を何回も繰り返し、予測結果などを出力する構造である。ニューラルネットワークの精度向上の鍵となるのは、深い構造、すなわち隠れ層を何層も重ねる構造である。
つまり言い換えると、「多層構造のニューラルネットワークの機械学習」がディープラーニングであるといえる。
2012年に、ニューラルネットワークを用いたディープラーニングの圧倒的な精度を示す2つの出来事が起こった。
1つは画像認識コンテストにおいて、ニューラルネットワークを用いた手法が、1年前の優勝記録の誤り率25.7%から15.3%へと4割も削減し圧勝したのである。
もう1つは米グーグルが構築したニューラルネットワークがYouTubeの動画を学習して、猫を自動的に認識したことである。これらはディープラーニングの威力を強く印象づけ、現在も続くディープラーニングブームを引き起こし「時代」を作った。
精度の高さだけではなく、それを達成した方法も衝撃的だった。通常、機械学習で何らかの課題を解かせようとするとき、入力データにアルゴリズムを適用する前に「特徴抽出」と呼ばれる操作を施す。特徴抽出とは動画像や文章などの膨大で非定型な入力データから予測に効くと思われる特徴を取り出す作業である。
精度を上げるには入力データの性質や課題の内容を反映した特徴抽出の方法が肝となる。そのため、問題ごとに特徴抽出方法を人間が選択するのが常識であり、入力データや課題に応じた特徴抽出の手法やノウハウが開発されてきた。ところが、ディープラーニングでは特徴抽出がアルゴリズムに組み込まれ、抽出すべき特徴の選択自体も機械に学習させたのである。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/bigdata/20150419/280107/
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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