CLOSE UP コラム | LPWAの比較

LPWAの比較

CLOSE UP 事例

2017年04月24日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

2017年からIoT向け無線ネットワーク「LPWA(Low Power Wide Area)」が、いよいよ日本でも利用可能となる。

2016年にLPWAの各通信規格の導入が打ち出され、2017年にはいよいよ、本格的にそれらの通信規格によるインフラが実際に整備され、市場にもLPWAを商用製品が登場するのではと期待が高まっている。

IoTでの利用を前提に開発され、低消費電力(Low Power)で広範囲(Wide Area)をカバーする無線ネットワークLPWA、その代表的な規格である「SIGFOX」、「LoRaWAN(ローラワン)」、「NB-IoT」を比較しながら、3つの特徴を見極める。

グローバル展開に強いLPWA「SIGFOX」

3つの規格のなかでもサービス展開の先陣を切るのは、仏シグフォックスが世界24カ国で展開する「SIGFOX」である。日本での独占事業権を得た京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が2017年2月から東京23区を皮切りにサービスを開始する。

他と比較した場合の「SIGFOX」の特徴は、破格の安さとグローバル展開力にある。LPWAはいずれも通信料金は安い。しかし現在日本において、LPWAの通信サービスとして価格が明示されているのは「SIGFOX」のみ。その金額は、1日2回通信するデバイスが100万台以上あれば、1回線あたりの通信料金は年100円。月に換算すると10円以下だ。

また「SIGFOX」は、日本を含む25カ国の主要都市で同一のネットワークとクラウドを利用できる。通信速度は100bpsのみで、データの流れはデバイス側からクラウドへのアップロードだけという制限はある。だが、条件が合致すれば、極めてコストパフォーマンスは高い。IoTサービスの海外展開を狙う企業にとっても頼もしい。

自由度の高いLPWA「LoRaWAN(ローラワン)」

続いて比較するのは、ソフトバンクが提供を発表している「LoRaWAN(ローラワン)」である。ソフトバンクが2017年度内に「LoRaWAN」を活用したIoTソリューションの提供を開始すると発表しているほか、NTT西日本やソラコム、M2BコミュニケーションズなどもこのLPWAの実証実験を積極的に進めている。

「LoRaWAN」は、Wi-Fiのように必要な場所に自由にネットワークを構築できるのが特徴で、これは他の2つの規格と比較しても、大きな特長だ。「SIGFOX」や「NB-IoT」のエリアになっていない山奥などでも、必要に応じて自分たちでネットワークを張り巡らせることが可能だ。

「LoRaWAN」の仕様はLoRaアライアンスでオープンに策定されており、400社あまりの企業がそれぞれの得意分野でサービス開発を進めているなど、企業による積極的な取り組みに勢いが感じられるのも特長だ。

日本ではまだ、「LoRaWAN」のネットワークを広範なエリアで敷設し、月額課金などでサービス提供する事業者は現れていない。そのため実際の通信コストは見えにくいが、「LoRaWAN」に対応したゲートウェイ1台の価格は約10万円になると見込まれる。これ1台で「LoRaWAN」なら数km四方のエリアをカバーできる。Bluetooth、ZigBee、Wi-Fiなどと比較すると、トータルで見ればリーズナブルにネットワークを構築・運用することが可能だ。

カバレッジ力に優れたLPWA「NB-IoT」

上記ふたつのLPWAにやや遅れて商用化されるのが「NB-IoT」である。LTEベースのIoT向けネットワークで、3GPPで標準規格が固まったばかりである。日本では2016年10月から総務省・情報通信審議会で導入に向けた議論が始まっており、2018年春の商用化が期待されている。

他の規格と比較した場合、「NB-IoT」の強みは、カバレッジ力にある。モバイルキャリアがすでに有するLTEの基地局をベースにネットワークを展開するため、早期に全国規模でカバーできるポテンシャルがある。

「NB-IoT」はキャリア型のビジネスであり、同様のビジネスモデルを採用する「SIGFOX」もサービスの提供範囲を全国規模に拡大していく計画だが、2018年3月時点での提供エリアは政令指定都市を含む36都市の予定で、当面は限定的だ。2018年に「NB-IoT」が商用化されれば、一気に需要が流れ込む可能性も考えられる。

LPWAの通信規格「SIGFOX」、「LoRaWAN」、「NB-IoT」を比較したが、それぞれの規格には特長や得意分野が明確に存在する。複数の通信規格が急速に立ち上がったことから各通信規格同士の争いが激しくなるという見方もあるが、一方、それぞれの通信規格には特長や得意分野にあわせて複数の通信方式を使い分けようという動きも活発だ。

下記サイトからの要約。
http://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/5106/Default.aspx
http://www.sbbit.jp/article/cont1/33292


著者プロフィール

オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一

1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス 「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。

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