2016年03月07日
オープンソース活用研究所 所長 寺田雄一
テキストマイニングでクレームの要因を特定し顧客満足を向上させた、大手オフィス用品メーカーF社様のビッグデータ活用事例をご紹介します。
F社様の顧客サポート部門(お客様窓口)では、電話や手紙、メールなど複数経路から届くエンドユーザーの声をデータベース化して分析しましたが、対応に長時間を費やしており、顧客満足を図ることができない状態でした。クレーム内容によって対応する部門が異なるにもかかわらず、担当部署へのワークフローが機能していなかったのです。
クレーム対応時間を短縮させたいという依頼を受けたKSKでは、クロス集計やクラスター分析を用いながら、「入力したテキストで自動的に振り分ける」システムを構築し、クレームの内容をテキストマイニングしていきました。
テキストマイニングには、単語ベースで行う方法と文脈ベースで行う方法の2種類があります。
文脈ベースで行う手法は全体像を把握することが容易ですが、分析精度は70%程度に落ちます。一方、単語ベースでは、80~90%の精度を保つことができます。
現在、F社様では単語をベースに日々、ルール化の改善を行いながら運用しています。
この仕組みづくりによって、クレーム内容別の担当部署への分岐が容易になっただけでなく、製品の不具合のパターンも分類できるようになりました。
ある程度データが溜まった時点で、クレームの内容にも一定の傾向が見えてきます。たとえば「製品Aは7~9月、気温35℃以上でインク漏れが多発している」という不具合のパターンが散見されている場合は、このデータに成形加工をすることで、以降は自動的にパターンが抽出されるようになります。
エンドユーザーからの声をカテゴリ化、要約化できるようになり、さらに該当部署への伝達がスムーズになったことで、F社様のクレーム対応の処理スピードは40%アップしました。
さらに製品の不具合パターンが明確になったことで、事前の対策も打てるようになり、全体的の顧客満足度が向上したのです。
システムにクレーム情報を入力して傾向の把握をしたいという場合、このようなテキストマイニングの手法が取られます。
分析システムを用いて統計的に解析することで、より多くのパターンを浮かび上がらせることができるようになります。「どういう製品にクレームが偏っているのか」、「どのような不具合が頻出しているのか」という目先の問題だけでなく、顧客の生の声から企業としての新たな課題を抽出し、それを経営判断の指針にすることも可能なのです。
【ケーススタディまとめ】
―要望・苦情をカテゴリ(製品/出荷/営業の問題etc)に分類できた。
―製品の不具合パターンを把握できた(製品Aは7~9月、気温35℃以上でインク漏れが多発しているetc)
―カテゴリ化、要約化でき、該当部署への伝達がスムーズになり対応箇所・スピードが向上した。
1993年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。 インフラ系エンジニア、ITアーキテクトとして、証券会社基幹系システム、証券オンライントレードシステム、損保代理店システム、大手流通業基幹系システムなど、大規模システムのアーキテクチャ設計、基盤構築に従事。 2003年、NRI社内に、オープンソースの専門組織の設立を企画、10月に日本初となるオープンソース・ソリューションセンター設立。 2006年、社内ベンチャー制度にて、オープンソース・ワンストップサービス「OpenStandia(オープンスタンディア)」事業を開始。オープンソースを活用した、企業情報ポータル、情報分析、シングルサインオン、統合ID管理、ドキュメント管理、統合業務システム(ERP)などの事業を次々と展開。 オープンソースビジネス推進協議会(OBCI),OpenAMコンソーシアムなどの業界団体も設立。同会の理事、会長や、NPO法人日本ADempiereの理事などを歴任。 2013年、NRIを退社し、株式会社オープンソース活用研究所を設立。
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文字どおり、畳み込み(コンボリューション)を加えたニューラルネットワークの一種。個々のニューロンが視覚野と対応するような形で配置されており、画像や動画認識に広く使われる。
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